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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
「はあ。」
ティーの言う通り、トイレでタバコを吸っても日本みたいに火災報知器が作動する事も無ければ……もっと言うとゴミ箱にはベッタリと口紅が付いたタバコが何本も捨てられていた。
これは日本では無い光景だ。
こういう所に『ギャップ』を感じるのが異国での生活なんだろう。
今流れているのはレゲエとエレクトロが混ざった様な曲だった。もしかしたら──テヒョンが好きな曲調かもしれない。
彼が私の性格を大体理解してきた様に、私も彼は野菜が嫌いとかコーヒーはブラックだけど本当は何よりもレモンティーが好きとか、そういうのを分かってきた。
都合の良い時だけ発動される『郷に入れば郷に従え精神』を利用して、ティーのディオールのグロスが付いたタバコを一度、水に濡らして火を消してから同じ様にゴミ箱に捨てる。
ふと鏡に映った自分は──ポールに会った時の自分よりも綺麗だった。
メイクや服、髪型でここまで変わるんだ……。
前髪を軽く直してから、トイレのドアを開けた時──たまたま一階から上がってきたであろうイケメンと目が合った。