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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
「ヨンホが今、日本語を勉強してるんだよ。」
「そうなんだ。でも何故?」
「仕事。本当は──覚えたくない」
目を細めて、眉毛を整える様なジェスチャーをすると両隣の女の子が高らかに笑い出した。クー君は何も言っていない。
「じゃあ覚えなかったら良いじゃん。英語でどうにかなるでしょ」
「どうにもならない場合もあるんだよね~」
この席は男三人が予約していた席で、女の子達はお店が調達してきたんだろう。
皆、この三人に好かれようと必死なのが手に取る様にして分かった。クラブのVIPルームに来る女は『タダ酒を飲みたい輩』か『金持ちに好かれたい女』の何方かだ。
でも私から言わせてみればドチラもタチが悪い。
「……。どうした?」
「ううん。何かさっきいた場所と雰囲気違うな、と思って」
「どう違うの?」
「……うまく説明できない。でも違うのは違うわよ」
私達は──男同士でバカ言い合うノリに近かったと思う。みんなテヒョンが側に居る事で、テンション最大になっていた。
ハンターの様なホステスの様な女は三人しかいなかったけど、それでもここまでブリブリでは無かっただろう。
「なあクー!その日本人と話させてくれよ!」
フランクミュラーの限定品を付けた男の大きな声で『二階の現実』に引き戻される。
「ヒョン、本気ですか?」
「ああ。」
「話してやってくれる?」
「私は大丈夫だけど。」
金持ちボンの相手は慣れている。