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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
「お前みたいな凡人は知らねえかもしれないけど俺は、アート財閥の長男で次期社長だぞ?…誰にそんな口きいてんのか分かってんのか?」
アート財閥──韓国内で確か4位とか5位くらいの資産を持つ財閥だ。
主に手掛けているのは冷凍食品製造や精肉加工。食に精通する財閥の中では間違いなくトップだろう。
「だから何?」
「私はね、アート財閥よりももっと大きい力に喧嘩売って、自分の資産も家も車も──そう何もかも失くして、もう失うものなんて無いのよ」
「そんな極限に落ちてる女が今更、アート財閥の長男にビビッて土下座でもすると思ってんの?ああ?」
普段なら嫌味なジェスチャーをされたとか、下品な事を言われたくらいでここまではキレないのに。
確実に酔いが回ってきている。だからシャンパンとか炭酸は嫌いなんだ──。
「おめえな…ッ「何よ!文句あるわけ?」
「アート財閥だ、ヒュンダイだ、サムスンだ、なんて知らないでしょ。私は楽しく飲むために此処に来たのよ」
「アンタらも親が金持ちなだけでただの哺乳類でしょ。私と何ら変わりないじゃない」
「バカバカしいのはアンタの方よ。自分の力で稼いだ事もないガキが偉そうな口ぶりで、周りの女に媚売られて鼻の下伸ばしてんじゃないわよ」
「──っ!」
「文句は自分で稼いでから「もう良いだろ」
力強い腕で、ぐっと抱きしめられる。このシャネルの香水の香り──。考えるまでも無く誰の物か分かった。