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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆

「ねえ、タバコ取って」

「ああ?自分で取れや」

「携帯触ってるじゃん」


「仕事だよ、仕事」

「はあ!?」

怒った私は、わざと大きな足音を経てて彼が座っているリビングの方へ向かう。机の上にはレモンティーと勝手に吸われているフィリップモリスがあった。


「もう、勝手に吸わないでよね」

「うるさいな。俺が買ってるんだから文句ねえだろ」


「ほら、アンタっていつもそうやって何かあれば俺の金とかそういうの言うでしょ。昨日のアートの長男みたいだわ」

「ああ?アイツは親の脛かじりだろうが。俺は自分と身の回りに掛ける金で帝国絡みの金なんて一切使った事ねえよ」

「──。」


そういわれたら何も言い返せない。

黙って煙草を吸いながら最終確認として、もう一度鏡を見て……少し足りないハイライトを入れる。ハイライトの入れ方も昨日、べろべろになりながらティーに教えてもらった。

私は知らなかったけど目頭に『く』の字を書く様にして入れるといいらしい。


「わあ、すごい」

「………。」

「ねえ、見て。ラメラメになった」


目だけで私の顔を確認するテヒョン。その表情は──本当にダルそうだった。そんなの知らねえよ、と言いたそうな、そんな感じ。


何度も言うけど、まるで『熟年夫婦』だ。誰も強制連行されて二か月しかたってないなんて思わないだろう。


こういう瞬間に女の強かさを感じる。

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