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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
彼はいいけど私は──と入るか入らないかの躊躇いを心底ウザく思ったのだろう。腕を引っ張って会長室にさえも『強制連行』された。
「ああ、テヒョンさん」
「初めまして──というより、お久しぶりです。の方が正しいですね」
英語でのテヒョンの挨拶に、向こうはハテナ顔を浮かべながらも流暢な同じ言語で挨拶を交わした。
「そうですね。……まあ、お座りください」
ソウルタワーグループの会長はまだ若いらしい。50と幾つかと言った所だろう。グループの会長と云えば結構な年増しを想像するのが普通だと思う。
この人の場合は、BNの社長とあんまり変わらない──もしくは社長よりももっと下にも味方によったら見える事があると思う。
「本日はどの様なご用件でしょうか?」
私と一緒のタイミングでソファーに腰かけた彼。二人違うのは座り方だ。
私は茶道で習った事とマナー教室で習った事をフル活用しようと必死に『品よく見せる努力』をしているけれど、彼は別。いつも通り、男性らしく大きく足を広げて深く腰掛けていた。
「単刀直入に言うと」
「……アートとの取引を少し控えてもらいたい」
「はい?」
「はあ?」
会長と私の声が被る。