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シャネルを着た悪魔
第7章 ☆CHANEL NO7☆
カンナム百貨店の本社は、ソウルタワーから車を走らせて約15分ほどだった。目と鼻の先にライバル会社が有るんだからお互い気が気じゃないだろう。
カンナム百貨店は、韓国国内に7店舗持ってるらしい。オリジナルのブランドラインも持っているし、アパレル会社も持っているし、またソウルタワーグループとは違う感じだろう。
マイバッハの中で彼が、会社の情報を私に教えている時──。
その時の顔は──。何ていうんだろう、まるでずっと分からなかった問題が解けた学生の様な顔だった。好奇心と嬉しさと楽しさが入り混じっている様な。
彼は、帝国グループを継ぐ気はないらしいが、もし継ぐことになっても持ち前の強引さと商才で充分にやっていけると思う。
現に彼は今回の問題で『賄賂』とたたかれる様な真似はしていない。──そう、お金をあげたワケでも貰ったワケでもないのだ。
あくまでも向こう側に、アートと取引を辞めない場合の可能性を危惧したまでである。
彼こそ、本物の『強か』なのかもしれない。
──さきほどの場所と似たり寄ったりな展開で、車をボーイに預けてから、今度は正面入り口からカンナム百貨店に入った。
受付の側に立っていた男の人に手を上げると、ドカッと待合用のソファーに座り込む。
「行かなくて良いの?」
「こっちはアポ取ってるけど詳しい時間は伝えてない。だからどうせ時間あと少しかかるだろ。って事はコーヒーくらいは持ってくるハズだ。」
「それを飲みながら、株価のチェックね」
「……おめえもよく俺の事を理解してきたモンだな」