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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆
……ターコイズブルーの空には細くて長い飛行機雲が掛かっていた。
ベランダから見るこの景色は最高だ。まだ少し肌寒いけど、この時間だとノースリーブのワンピースで居ても風邪は引かないだろう。
朝、私に念を押すなり仕事に出かけたテヒョンは珍しく服について何もアドバイスをしてこなかった。
今までは彼の後輩に会う時もソウルタワーに出かけた時も彼が何か口を出してきたのに──。
「まあ、これでいいと思うけど」
携帯を片手に、窓に反射する自分を見つめる。
紺色のブレザーの胸元には、あのロゴが入っている。
中はテヒョンと兼用の白と黒のボーダー柄のインナー。
首元が寂しくならない様にピンクゴールドのネックレスを付けて──。下はひざ丈の真っ白のスカートだ。
足元は、初めて『プリティ・ウーマン』になったあの日に買ってもらったヒールを合わせるつもり。
きっと赤色のピンヒールは最高のアクセントになる。
「会長秘書代表か──。」
お前の一件以来、連絡とってねえ。なんて言ってたけど結局アートの件もあったし、彼との電話の内容を聞いていた限り、何度か連絡は取りあっていそうな雰囲気だった。
それがどういう内容なのか知らないけど──。
もしかしたら、兄貴がああなった今、本気でテヒョンに跡を継がせようとしているかもしれない。そう思ったりもする。
──もし、そうなったら……。
ルイ君、ロイ君、ジン君、ジミン君はどうするんだろう?BNの社長もそうだ。
マネージャーしか知らない彼の家庭環境は、きっとこれから先、良い意味でも悪い意味でも足がけになっていくに違いない。