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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆
ソン・テヒョンという男は、強引で犯罪者心理に近いものを持っているけど、それは自分の環境が作り出した彼の偽りの性格なのだろう。
本当は、きっと純粋で単純で……絵に描いたような分かりやすい男、だ。
ブイさんに、シャネル前で車を停めて貰い本当に……何かを買ってきた所を見ると、何度も言う様に『純粋』という言葉がよく似合う。
「何買ったの?そろそろ教えてよ」
レストラン前にあと少しで着くだろう。
全然口を割らないテヒョンをからかってみる。
「うるせえな、俺とヒョンの話なんだから良いだろ」
「なに、その言い方。私の知恵借りたくせにね。」
「おめえこそ何だよ、その言い方」
「お二人さん。喧嘩はいつでも出来るけど、その方とのフレンチは次、いつになるか分かりませんよ。──着きました。」
高級車が故に、急ブレーキを踏まれない限りは車が発進してるのか止まってるのかすら、あんまり分からない。
「ありがとう。迎えは大丈夫だから」
「はい。」
ドアを開けた瞬間に、春の風が私の首もとで優しく舞い踊った。