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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆
韓国で一番有名なフレンチレストランらしい。
有名人や財界のドン達御用達の為、個室もあるみたいだった。
「個室でしょ?」
「ああ。じゃねえと色々ヤバイだろ」
開いた扉の奥から、何とも言えない香りがする。ニンニクかな?
フレンチなんか、最近まともに食べていない私には、この空間が何だか玉手箱の中の様にすら思えた。
「ソン・テヒョンです。」
「ソン様。お連れ様がお待ちですよ。二階になりますのでご案内しますね」
年齢は30代くらいかな?すごくハッキリとした話し方をする女性に連れられて私達は階段を上がった。
何も仕切りの無い階段。
一階で既に食事をしている人達は、何となく──そう、本当に何となく二階に上る人物を見たつもりだったのだろう。
でも面白いのが、100%の確率で2度見をしているのだ。
その理由は──私の前を歩く男、だと思う。
そこそこの所だけ有って、誰も騒ぎ立てたり写真を撮る様な真似はしなかった。
彼も変装をしてこなかったのは、何かあっても私の事を親戚と紹介できる、と踏んでるからだろう。
「お連れ様がご到着されました」
「……入ってくれ」