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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆
「はあ。」
大きく響くイさんのため息。
嬉しそうにしているのは当の言われた本人だけだ。
「テヒョン、そこも変わってないんだな。芸能人になって色々な女を見るからこそ、あんな真似はしないと思ってたが──」
「違うんだよ、ヒョン」
サラダを持ってきてくれた、年増しの男性は私達が何の話をしてるのか分かっているのだろうか?
そして、当たり前の様にテヒョンの隣に座っている私を……一体、何だと思ってるのだろうか?
「コイツな、はじめ俺の事大嫌いだったんだよ。」
「……。」
「まあ、もちろん今も嫌いだろうけど。そういうレベルじゃねえくらいに。──だって喧嘩売られたんだぜ?」
「次に会った時も言われた俺は覚えてるけどコイツは忘れてたしさ。なんか、そこまでされた事ねえから、どうやって落とせば良いか分かんなかったんだよ」
「それなら普通、誤解を解いてから人として見てくれる様にして──愛を育もうとするだろ」
「……っですよね、イさん!」
思わず共感を声に出した。手に持っていたグラスの中のワインが少し揺れる。
「ああ、そうだ。……ったく、どんな出会い方で、お前がそこまで必死になってるのかと思ったら──そういう事だったんだな。」
「どうだ?恋愛沙汰に帝国グループの力を使った感想は」
「そりゃ、自分がみっともないさ。本当に好きになって欲しいと思うし、させれない俺が力不足だなとも思う」
「でも、こういう状況でしか一緒に居る空間を作れないのなら──それは仕方ないんじゃねえのかな、とも思う」
「欲しいものを手に入れる為に、今ある環境や人脈を使うのは、当たり前。──な、だろ?リサ」
この言葉。
ああ、そうだ。私が彼のお兄さんのことを話してた時に言った言葉だ。
「………。」