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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆
メインディッシュが私達のテーブルから下げられた時……もうワインは二本目に差し掛かっていた。
「おい、テヒョン」
「何だよ」
「飲み過ぎだ。そんなに気良く飲んでるけど明日も仕事なんだろう」
「うん。でもヒョンとこうやって酒飲めるなんて思ってもなかったから…」
「──テヒョンが、リサさんに惚れたからこそ、今が有るんだろうな。」
イさんの言葉は深いものである。
確かに……彼が私に興味を持っていなかったら、きっと今後も帝国と連絡を取り合うなんて事はなかったんだろう。
どうにも成らない女に惚れて、帝国の力を使うしかない状況に陥ったからこそ──彼とイさんは、もう一度こうやってご飯を食べれたわけだ。
「そうだな。そこに関しては俺もリサに感謝してる」
「まあ、お前が──こっちに戻ってきたら話は早いんだけどな。」
「まだ言うか?その話」
少しだけ二人の声のトーンが下がった。
「……お兄さんがああなった今、血筋以外の人間に跡継がせる訳にもいかないだろう。」
「血筋だったら、親父の弟も居るだろ。俺じゃなくてももっとビジネスの才能がある人が五万と居るはずだ」
「ソンヤンさんは──、ダメだろう。会長は、彼を使う気はない」
「何故?」
「彼には帝国は大きすぎる。今みたいな立ち位置で従うべき者が居る環境の方が似合ってるさ。」
「──じゃあ、ヒョンがすれば?」
「はあ。バカか?俺はあくまでも秘書代表だ。会長の側近として、適役を探すことが今の仕事なんだよ」
「だからといって、俺じゃなきゃダメな必要はねえだろ。──きっと親父も今ごろ、俺が戻った所でアウトローを見る様な目付きで追い返すよ」
「そうかしら?」
口を挟んでしまった。
お酒のせいかな。