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シャネルを着た悪魔
第8章 ☆CHANEL NO8☆


「君が強いのか、テヒョンが変わったのか。久しぶりに会った僕にはそこまで分からなかった。」

「……。」


「──私、正直な話していいですか?」

「勿論だ。アイツも居ないんだし”正直なところ”を聞かせてくれ」



「一か月、ずっと泣いてました。自分で築きあげてきた地位も、自分の力を使って男の人から貢がせていた高級品も全部なくなったんですから」

「携帯が繋がらないから親にも電話できない、手持ちがないから何もできない」

「そんな状況だったんです」



「────。」


「でも、ふと思ったんです。彼は手段が強引なだけで優しい人だと。」

「優しい、か」


「はい。朝起きたら私が食べない事なんて予想出来てたハズなのに必ずハムエッグが置いてありました。夜には、ドコかから調達してきた様なテイクアウトのご飯もありました」

「好きな車のポスターを家に飾ってくれて──好きなドラマや映画、アニメも山ほど用意をしてくれてて──。」



「だけど、ほら──わたしって強情でしょ?彼の優しさを理解しながらも失ったものが大きすぎて、素直に感謝も出来なかったし自分の行動も変えれなかった。だからこそ……一か月、ずーっと廃人みたいな生活をする羽目になった」


「でも、それじゃダメだと思いました。」



「私の良い所は、どんな場所でも相手が誰でもすぐに適応できる所。──これを今、生かさないと何時生かすんだろう。そんな考えになって、大きく行動が変わりました」



「はじめは──『利用する気』でした」



「彼も『利用される気』でした。利用されても良いから私に側に居てほしかった。……何か、それが分かった時に、彼の行き過ぎた愛情を可愛いと思う様にもなったんです」


「現に、彼に色々とスパルタ教育され直されたお陰で、見た目にも自信が付いたし韓国語も少しなら理解できる様になった。マナー教室や茶道教室も役に立ってます。」


「──彼の言う通りにして、私は変われた」




「……だから、今は彼の事を『憎い』と云うよりも『変なヤツ』として見てます」


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