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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆

「でもダンスショーが一番楽しみよね」

「そう?私ダンス分からないから。」

「よく言うよ。クラブは?」


「……行っても『お尻振る』くらいよ」

「──ははっ、それも十分立派なダンスよ。さすがオル大のラテン・ジャパニーズね」


『ラテン・ジャパニーズ』とは、昨日一緒に初めてクラブに行ったヒョナと他の友達から付けられたあだ名だった。

私もテヒョンのご飯を作って帰りを待ってから──こっそり家を抜け出してクラブに行き、朝には戻って何食わぬ顔で今日を迎えたんだから、まだまだ若い。


「それにしても昨日のリサは凄かったよ」

「何が?」


「あのお尻。そして──色気!メイクもいつもと違ってアイシャドウとか濃かったでしょ?クラブに来てた外国人、みんなリサのお尻見てたよ」

「韓国人にはモテないのよねえ」

「はは、それは仕方ない。韓国の男は『清楚な女』が好きだもん。あそこまでがっつりセクシーだと、ペネロペ・クルスが隣に居るみたいで緊張しちゃうんじゃない?」


ヒョナは、感じの良い男の子とずっとお酒を飲んでた……と思う。

結局、他の子達はお持ち帰りに賛同してドコかに消えたため、私とヒョナの二人でタクシーを割り勘にして帰宅したのだ。


「やっぱりD組はイケメン居ないから、集まりも乗り気になれないのよね」

「確かにイケメン居ないわね。まあ、犯罪心理学を学ぶイケメンっていうのも気になるけどさ」

「それはそうだけどお。B組知ってる?」

ハイ、と渡されたのはレモンティーだった。

──有りがたいけど、アイツの顔が浮かぶ。


「確かBNとかSMの練習生の子とかも居るんだよね」

「そうそう。男も女も一番水が良いって噂の」


水が良いとは、質が高い事を表している。この言葉も韓国に来て初めて覚えた言い回しだ。個人的には『綺麗な言い回し』だと思う。

「平均身長とかヤバイんじゃないの?そんな人達と合同でホール集まるっていうのも緊張する話だよね」

「何言ってんの。リサの彼氏は、こうやってオル大の授業料も出してくれてシャネルも買い与えてくれて──顔は知らないけど、良い人じゃん」



「まあ、そうだけど──」



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