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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
「あっ……」
「ヌナ、凄い顔してるよ。大丈夫大丈夫。練習も何回か見てるし」
わざわざブロックを見に来たのに、私は彼たちのダンス前に腕をつかんで強引に外に引きずりだした訳だ。
自分の愚かさに、思わず恥ずかしくなって顔を下に向けた。
「で、ヌナは?何で百合大学に?」
「私は──。」
「こんな事、聞きたくないけどアミューズ辞めたんでしょ?」
「知ってるんや。」
素で出した返事は、関西弁。実家に帰ったらきっと、ネイティブ大阪弁の懐かしさに涙を流してしまうだろう。
「うん、テヒョンさんが言ってた。ジンさんとか寂しがってたよ。」
「その時のテヒョン、どんな表情だった?」
「えぇ、表情?」
「うーん……」
少し考え込む素振りをする彼。
「何て言うんだろ、ほら俺達全員が新曲の事でも感謝の気持ち有るしさ、仲良くしたいって思ってたのに」
「なんかテヒョンさんだけ喜んでた、みたいな?詳しくは覚えてないけどお菓子貰った子供みたいな顔してたと思う。」
さすが10年一緒にやって来てるメンバーだけある。とても想像のしやすい例えだった。
きっと──自分しか知らないリサの秘密。なーんて甘い事を思って、つい顔に出てしまったパターンだろう。
「ねえ、教えてよ!ヌナ!」
「何をよ?」