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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
──shout! shout! shout!
懐かしいアメリカの歌が流れている。それに合わせて皆、テキーラを一気飲みしたりと、この状況はまさにクラブ。
まだブヒブヒという男女が腰をすりつけ合う躍りがないだけ、上品だろう。
第二ホールは、さっきのダンスショーよりも皆、活気づいていた。お酒のおかげ?それとも近くに居る美女やイケメンのおかげ?
少し離れたテーブルには、そんな雰囲気に合わない私とヒョナとルイ君。
まさかヒョナも、後ろのマスク男がルイ君だとは思ってもいなかったみたいで正体を明かすと、目も鼻も口も全部を大きくしていた。
人間が本気で驚いた時の顔なのだろう。
そんな私の可愛い友人を必死に口説こうとしている彼は、忠告通り室内だからこそサングラスを外している。
代わりにブロックの子から貸してもらったキャップを、かなり深く被っていた。まあ──あれくらいだったら会場も暗いしバレないだろう。
DJが大きな声で何かを叫ぶと、曲が一気に変わる。照明の色もレーザービームみたいな緑色から、扇情的な赤色へと変化した。
耳に入ってくるのは、異国感溢れるリズムの取り方──。そして、スペイン語。
「あ、これ」
「リサ、好きなやつでしょ?」
ルイ君の必死の喋りを一度、辞めさせてから私の方へ顔を向けるヒョナ。
そう──これは私が昨日、死ぬ気で躍り狂った曲だ。
和訳が中々エロいだけあって、振り付けも中々エロい。……いや、振り付けはかなりエロい。の方が良いかな。
「大好き」
「……踊ってきたら?どうせ、今は『学園祭』なんだしさ。」
細くて白い指が指すのは、舞台の上。
皆、踊り狂うよりも目当ての人を見つけたいのだろう。あまり人が居なかった。
「……本気で言ってる?あのダンスよ、浮かないかしら」
「ばーか。あのダンスだからこそ人前で踊るのよ。」
「私の友達代表として、男全員の視線集めてきてくれない?」
とても素敵な誘い文句。
私は、その言葉に流されるがままワインをテーブルに置いてゆっくりと舞台へ向かった。