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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
『君に彼が居るのは知ってるよ』
『でもアレは僕の方が良いんだろ。それならこっちに来て踊ろう』
『それか四人で楽しまないか?』
スペイン語は何ともセクシーだ。脳内に既にインプットされてある和訳をなぞりながら、お尻を揺らす。
縦に──、横に──。
丁度、ライトが私にだけ当たって、この舞台は私専用の舞台になった。
誰もラテン系は踊れないのだろう。さっきまで居た女の子達も私の本気具合に驚いて、足早にここを後にした。
それでも関係ない。
『君は僕のアレが好き』
『僕のあの子は君のあの人のアレが好き』
『何も心配いらないよ。こっちに来いよ。』
背中のジッパーを少し降ろし、レースを強調するかの様に胸をグラウンドさせると会場からは口笛の様な高い音がいくつか沸き上がる。
『ねえ、それか四人で楽しむかい?』
『そうだ、そうしようよ。僕も君も今は大事な人がいる』
『大事な人を守るためにも、四人で楽しむことにしよう』
後ろを向き、お尻を素早く動かして──この曲は終わりだ。
約4分20秒だったかな。
インナーマッスルをスゴく使うこのダンスは体力の消耗が激しい。
──でも、何とも言えない空気の中、舞台から見下ろすと視界に入る男達の顔。
これは間違いなく自惚れじゃない。『私のダンスはさっきダンスショーに出ていた女の子達よりも色っぽかった』んだ。
それを確信付けた時、疲れなんてどうでも良くなった。
ねえ、韓国人の男性諸君。
女の可愛さは作れるけど、セクシーさは作れるものじゃないのよ。