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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆

「リサ!」

テーブルに着くなり、抱き締めてくるのはティーじゃない。ティーに言動までよく似ているヒョナだ。

「何、さっきのダンス!あれって昨日より最高よ!」

「リサヌナ!すげえセクシーだった!」


「──ありがとう!」

渾身の笑みでお礼を言う。

そりゃ、そうだ。昨日のクラブは人も多かったしお立ち台にも女が溢れ返っていた。

だけど今日は──さっきの舞台は──。私が独占したようなものなんだ。

DJも、曲を止めなかったのは私のダンスの色気に圧倒されたからだろう。

スポットライトも、曲も、視線も──全部私の物になるこの瞬間が大好きなのだ。

だから、使う道なんてないじゃん!って言われ続けてきたベリーダンスを五年して、ブラジル発祥であるサンバを三年習った。

お陰さまでのお尻の筋肉。

あとは人前でああやって見せれる体になれた根本である『ユナさん』の協力もあるんだけどね。


私にとって、色気とは──

最大の女の資産。そう思ってる。


「なんか、リサヌナってお姉さん!って感じだけど普通に話してる時はセクシーとはまた違うからさ。ギャップにドキドキしてもうたわ!」

「ははっ、それが狙いよ。」


「俺、思わず二番のサビから動画取ってサファイアのグループラインに送ったもん!」

「………。」


────えぇ?


「ジミンさんはダンスが得意だから、きっとリサヌナのスゴさ分かると思うよ!勿論、俺の双子もジンさんもテヒョンさんもね!」


「今……今、なんて?」

「え?」


「どこに送ったって言った?」


「サファイアのグループラインだよ。」


……時が止まった気がした。

いや、時が……止まってほしいと切に願った。
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