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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
「……とりあえず、リサ。帰るべきじゃないの?彼はもう家に居るの?」

「わかんない。」


「まずは話し合いでしょ。私ならそうするけど」

「──。でもなあ、本当厄介なんだよ。今日も機嫌悪かったし、そんな日に限ってこの出来事だしさ。」


「だけど言ってもしょうがないじゃない。とりあえず誤解を取り除かない事には何も出来ないわよ。」

「うん。」


「後二か月で日本に帰るんでしょ?それなら、二か月の間ちゃんと養ってもらえる様に早い内に誤解解いとかないと」

「そうだよね」


「うんうん。リサには良い思い出として韓国を残しててほしいもん」

「分かってるんだよ?」


「うん。分かってるな「分かってるけど──やっぱり今日は帰らない!」


胸を張って言い切った。

逃げてるのは分かってる。ヒョナの言い分が何より正しいのも分かってる。

このため息がヒョナとルイ君のものだという事も──ちゃんとわかってる。


でも私には私の言い分があるのだ。

「確かに早いうちに誤解はといた方が良い」

「でも機嫌の悪い時にバッドな話題を出すんだったら、少し落ち着いてるであろう明日にでも──謝った方が物事が良い方向に進む可能性もあるでしょ?」


筋の曲がった言い分を、もっともらしく言えるのは長年の営業経験……だろう。

これが普通の大学生には無い私の強みだった。

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