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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆

──午前二時。

普段は現金を少ししか持ち歩かない私をよく知ってる彼女は何も言わずに、顔見知りのボディーガードの人にVIPルームに女だけで入りたい。と交渉していた。

勿論、向こうも商売だ。第一、昨日も来ているしハイピッチで私達二人がワインを開けてた事も知ってる。笑顔で頷くと、一番端っこの席に私達を案内した。

「さすが金曜日。いっぱいね」

「うん。VIPもこれで全卓埋まった事になる。──てかゴメンね、ヒョナ。結局こんな時間まで付き合わせて色々とお金出させちゃって」


「いいのよ。ご飯はルイオッパが出してくれたし、私が出したのはここのリザーブ料金とかアイスとかそれくらいじゃない。」

「でも此処は結構高いわよ。」


「それでも!大丈夫なの。この前の休日、リサも私にタイ古式マッサージとディナーおごってくれたでしょ?あの金額と今日私が使う金額、どっこいどっこいよ」

「──本当に有難う。」


感謝してもしきれない。

『本当に大丈夫なの?』と何度も二人に確認されながら、ご飯をとりあえず食べに行った。そこで、ルイ君が一度仕事で抜けて──私達だけでクラブに来たのだ。

皆忙しいだろうに、韓国語がまだそんなに上手じゃない私が行く宛の無い事を知ってるから、こうやって付き合ってくれてる。


話によるとルイ君も後20分後に合流できるらしい。まさかクラブに行くとは思っても無かった様で『危ないでしょ』とだけ書いたカカオトークの履歴を見せてきたヒョナは心なしか嬉しそうな顔をしている。

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