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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
「──っ。いったい……」

「俺も痛かったよ。今回の件でも誰にも打たれなかった俺が、どこの馬の骨か分からないお前に打たれたなんてな。」

お尻から倒れ込んだわたしを憎しみいっぱいの目で見つめてから、まるで男性相手にする様に胸ぐらを捕まれた。

力なく動いた私の首は、何とも滑稽なんだろう。


「お前がアイツとどんな関係でもいいが、俺をあんな事に陥れといて──」

「ノウノウとまだ江南を歩けるお前に腹が立つんだよ。」

「日本人が江南のクラブVIPだ?ソン・テヒョンだ?何、調子に乗ってやがる」


「……当たる所間違ってるでしょ!私じゃなくて、ソンテヒョンに言いなさいよ!」

「そっちこそ何なの?私が日本人で有っても無くても今は此処に居るの。クラブに行こうが何しようが私の自由でしょ!」

やっぱりどこまで行っても強がりなんだ、私は。

本当は、こんな暗い場所に私と彼二人。怖くて今すぐにでも逃げ出したいの。それが無理だと分かると、どうにも言い返してしまう性分が出てくる。

「いい加減にしろよ!このジャップ!」


──私が彼を打った時の力の倍は有るだろう。

それ位の強さで──思い切り頬にグーパンチをされた。思わず反射的に目を瞑り、掌で頬を押さえる。

「まだ俺の事が誰だか分からねえのか?ああ?俺はアート財閥の長男だ!」

「オメエみてえに、芸能人に何か有ったら助けを求めて、それを自分の力だと過信してる様な一般人とは格が違うんだ!」
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