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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
でも──違うんだ。
この世に『絶対』が無い事を身をもって体感した私には分かる。
私がどんな行動をしても──今日みたいにウソ付いて色んな男に見られてる事を知りながらも、踊り狂っていた姿を見ても──好きでい続けてくれるなんて根拠は無い事を……。
もう一度、画面を見た。
数字は『00:10』になっている。
無言電話だと思っているだろうか?
バッグに入った携帯が間違って作動し、それに気付かないまま、きっと聞こえているであろうこのEDMに合わせて私が又も踊り狂っていると思っているだろうか?
どっちにしろ、そう思われてもしょうがない。
『何だよ』と不機嫌に文句を言われてもしょうがない。
でも、この異国の地韓国で
私が心の底から、何か有った時に頼れる男はコイツしかいないんだ。掛けてみよう。
そう思い大きな声で叫んだ。
「助けて!今!アートの長男にどっか連れて行かれそうになってるの!」
「テヒョン──。助けてっ!」
「お願い、カンナムのBURNまで助けに来て!」
「おめえ!誰に電話してやがるんだ!」
遠くに投げられた携帯。
「……」
「誰だ?警察か?」
「そうよ。」
聞こえてなかったみたい。彼の名前は。
「はっ、おめえも俺の力を見くびり過ぎだ。警察に俺が捕まると思うか?」