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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
言い切った私は何故か肩で息をしている。
「っ……。あんたが」
「──アンタが」
「財閥だか何だか知らないけど、だからと言って何でもしていいって訳じゃないでしょ!」
さすがにこの言い合いはヤバイと思ったのだろう。警備員では無くクラブの従業員が私の事を宥める様にして肩を抱く。
決して厭らしい抱き方ではなかった。
「落ち着いてください」
「落ち着いてます、私は。」
「ウンサンさんの事は──。とりあえず、こちらで対処いたしますので」
「どうやって?所詮、出禁程度でしょ」
「────。」
「そんなのしてても、コイツの為にならないんじゃないんですか」
「江南のクラブで遊んでる子の中には玉の輿を狙ってる様な子も居るかもしれない、でも、勿論そうじゃなくて純粋に音や踊りを楽しんでる子もいる」
「そんな子達の目に見える所で……耳に聞こえる所で、まるで一般庶民をバカにした様な口ぶりでわが物顔で、この町を風切って歩いてる方がダメでしょ」
「もう良いだろ。」
さっきまで誰も入る事が出来ないほどの人だかりだったものが、一瞬にして一直線に道を開けた。
勿論……聞き覚えがある。
この声も、この言葉も。