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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
「呼ばれて来たけど──お前はやっぱスゲエな。チョン・ウンサンを一人でやってのけたのか。」
「……テヒョン」
真っ黒のロングTシャツは、ルシアンペラフィネのトレードマークであるドクロが大きく描かれてあった。これは最新作だ、確かフランスでしか売ってなかったと思う。
下は対照的に真っ白のスキニー。腕には見た事のない時計が嵌められてあった。
マスクもサングラスもしていない。すっぴんだけど──此処に居る全員に分かるだろう。コイツが……サファイアのリーダー・ソンテヒョンだという事が。
「テヒョンオッパ!?」
「ソンテヒョン……。」
口々に彼の名前を呼ぶ若者たち。いつの間にやら騒ぎを聞きつけたであろうVIPの人も階段を降りて様子をうかがっている。
「あ、ルイオッパも!!」
「ルイさんだ!」
ヒョナが呆然としている隣には、こちらも伊達眼鏡をすでに外してしまっているルイ君。
「ったく──。」
「いいか、敢えてお前の顔を潰すために此処で文句を言う」
「何で異国だと分かってるこの土地で、一人でフロアに降りようとした?」
「何で───『異性探しパーティー』が終わって直ぐに帰宅しなかった?」
「ウンサンは確かにクズだ。でもそんなクズも男なんだよ」
「おめえがソコ、傷付けられたのは何故だと思う?お前が女だからか?それとも日本人だからか?」
「──。」
「ちげえよ、お前は自分の事を女だと思った行動をしてないからだ」
「………。」
「分かるか?」
「普通なら絡まれた時に逃げるだろ。何故言い返した?何故、直ぐにルイと一緒に居るならアイツに助けを求めなかった?」
「何で──。」
「俺が居ない場所で、そんな危険な真似をするんだよ」