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シャネルを着た悪魔
第9章 ☆CHANEL NO9☆
SNS文化が盛んな国だ、彼は少しだけキツく私の背中に腕を回すとルイ君に軽く手を上げてから、BURNを出た。
強く握られている私の腕には、アイラインと何やら染みみたいなものが付いている。
幸い、まだそこまで情報は回っていなかった様でクラブの外に、彼のファンと思われる様な人達は居なかった。
押し込む様にして私を車に乗せると、素早く運転席に乗り込んだテヒョンは初っぱなからアクセル全開だ。
──まるでワイルドスピードの世界にタイムスリップしたかの様な運転。
車内に流れている宇多田ヒカルのバラードも全然、耳には入らなかった。
「……テヒョン」
「………。」
「せっかく楽しんでただろうに、ごめん。」
「全然楽しくなかったよ。」
「え?」
「リサ、一つずつ答え合わせをしていこう。」
灰皿の隣には飲みかけのスターバックス。彼はストローに少し、口を付けると何時もとは別人の様な口調でそう持ちかけた。
「まず、何で俺が朝から機嫌が悪かったと思う?」
「──。」
「俺は生粋の韓国人だ。クラブにも遊びに行くし、若い時から住んでる江南だからこそ色々な情報も知ってる」
「オル大のあのパーティーつったら昔から男漁りとか女漁り目的っていうので有名なんだよ。」
「在学してる練習生も、あそこで羽目外して同期や遊びに来てた子達を妊娠させるの何かよく有る話なんだ。」
「勿論、お前も友達が居ない訳じゃない。その前日に──クラブに行ってたからな。」
「そんな情報を知ってると思ってた。知ってる筈なのに、気合いを入れて行こうとしてた事に腹が立った」
「クラブに行ってた事も知ってたの」
「おめえ、俺が部屋に入った瞬間に爆睡してると思うか?」
「俺はアーティストだ。パソコン触る時も有れば、何も触らずに脳内で歌詞考えたり構成考えたりしてる時もある。」
「そんな時に、何かゴソゴソクローゼットいじってる様な音聞こえて、メイク道具触る様な音聞こえて」
「ドアが閉まったら──誰でも予想はつくだろう。」
「予想だけ?」
「確認もした。俺の知り合いに」