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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
大阪支部の上司に韓国出発前、こっぴどく言われたことがある。
「良いか、カタカナ表記に近いのは"アンニョンハセヨ"なんだ。勘違いしない様にな!」
ザワザワとしている店内、私の横には生ビール290円!という手書きのポスター。
メニューに並ぶものは比較的……いや大分良心的なお値段だ。
でも穴場スポットだと思う。料理は家庭的で本当に美味しかった。
ご夫婦でしている居酒屋さん。こういう雰囲気好きだな~と私が呟いたのを良しと思ったのか娘の様に可愛がってくれる彼は、何かある事にここに連れてきてくれた。
すっかりマスター達とも仲良くなった私は、韓国の土産にフェイスパックを買って帰ってあげないといけない。
「アンニョンハセヨ─ねぇ」
思わず口に出た言葉。
3階で乗り込んできた韓国人男性がこちらを見て笑顔で挨拶をしてくれる。
あはは、と苦笑いをして会釈をした。
そして、程なくしてからエレベーターの電子版に"10"という文字が出る。
スカートを上げてからジャケットのボタンを留めて私は支部長室へ向かった。