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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆


前の彼氏から貰ったハリーウィンストンの時計は午後18時を指していた。

辺りはすでに暗くなりはじめている。クリスマスらしいライトアップで、ただでさえ『インスタ女子の巣』であるカンナムは、いつもよりキラキラしている。


韓国支部長は思っていたよりもハンサムで、そして優しそうだった。

そりゃそうだ。親会社は日本なのだから日本から出張で来た私に気を使うのは当たり前。


それでも、正直……中学時代から養われてきた韓国人に対するイメージとあまりに違った為度肝を抜かれたのは事実。

もっともっと他人を蹴落として自分を上げる様なイヤな感じな奴ばかりだと思っていた。



大通りでタクシーを拾った私は、運転手さんにスマホを見せながら片言の韓国語で行き先を告げる。

「ASAOカジュセヨ」


中年の運転手さんはOKと答えて、車を発進させた。

日本風のメイクをしてスーツを着てキャリーバックを持ってるのだ。返答が英語なのは……仕方がない。

それでも、どこか格好つけの私はどこか納得出来なかった。

まあ韓国人だと思われてベラベラ韓国語で話しかけられても困るだけだから、これはこれで正解だったのかもしれないが。

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