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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
五本目のタバコに手をかけようとした時、ロータリーに飛澤と云う少し辺鄙な町には似合わない車が停まった。
中から人が出てくる気配はない。その代わりにブレーキランプが点滅した。
この車は、ランボルギーニ。リョウの愛車なのは知ってる。
「リョウ!」
タバコを吸うことなんてどうでもよくなって、そう言いながら駆け出して助手席に乗り込んだ。
「ったくお前は……。」
とデコピンされたけど、ムカつかない。
私の心が広いんじゃなくて、リョウの心が広いんだ。
「神沢からわざわざきてくれたの?!」
「うん。」
「電話も繋がらないのに?!」
「充電切れたってすぐに分かった。」
「ま、居なくてもそれはそれでタクシー捕まえてたなら良いことだし、居たら送っていけば良いし、何より顔が見たかった。」
急に真面目なトーンになったリョウはやっぱりテレビで見るよりもずっと格好良かった。
顎を持ち上げられる。
「二年ぶりか——綺麗になったな、リサ」
今日ならキスされても良い。それくらいリョウに感謝していた。
黙って目を瞑った私……。
「———っくっせぇ!」
だけど待っていたキスは来ない。その代わりに車内にリョウの大きな声が響き渡った。
「え?!」
「お前キムチ臭い!!」
「う……うそ!?」
真っ黒なランボルギーニのピッタリだったロマンチックなムードはリョウの一言でぶち壊された。
「な——あんたなぁ!仮にも一回惚れた女やろう?臭いってよう言うわ!こっちは仕事で韓国まで行ったっていうのに……。」
「それでもだよ!」
「お前毎日キムチ食ったんじゃねえの?唯一我慢できるのはそのマフラーの臭いだけだわ、それは良い臭いするけど、お前の肌からキムチの臭いがする」