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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆

「ちょーっと、ホンマにこいつー!」

といって、左肩にグーパンチをすると大袈裟に痛がってみせる彼。

どことなくこの雰囲気も嫌いではない。


「今日、あわよくばお前を抱こうと思ってたけど却下!」

「お前がキムチ臭を取ってからだな!」



「——なに、そこまで?!」

「うん。俺の友達にも韓国人沢山いるけど皆お前ほど臭くないぜ。お前は別格」

「うそ……」

「マジで。」


「もういい!今日はリョウに抱かれても良いっておもったけど、二度と抱かせるか!」


「"二度と"は無いんじゃねぇの。里紗ちゃーん。」

まるでルパンみたいな声でそう言うから思わず笑ってしまう。

そして笑った私をみて、リョウは何とも言えない優しい顔をした。


「よし、帰るぞ。家の住所、ナビに入れろよ」

「……うん!ありがとう!」


「いつも、そうやって素直だったら良いのに。お前って訳わかんない時に強がる癖があるからな」

「さすが一年半年も私の彼氏やってただけあるねぇ」


「一年半年俺の彼女してたのは、今のところお前だけだわ。」

「ふーん」

「今のふーんは、照れてる時」


「一々、言わなくて良いの!」

付き合ってた時もこんな会話ばかりしてた。

喧嘩という喧嘩はした事なくて、周りからは『中学生の兄弟』とか『高校生の両想いって気付いていない青臭い男と女』とか散々な言われ様だった。


でも——リョウの言葉が本当なら、彼から見て私は付き合って一番長かった女だし、私から見ても彼が、付き合って一番長かった男なんだ。



「………。」

急に黙った私を見て、リョウは華麗にハンドルをさばきながら静かに言った。



「疲れてるんだろ、寝とけよ。着いたら起こすから」


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