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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆

「我慢出来ないから言ってんじゃねーかよ。何だ?おめえさっきから」

「俺が一人で飯も作れねえし、洗濯も出来ねえし、掃除もダメなの知ってるだろ。ゴミにまみれて餓死しろって言いたいのか?」

ご飯は作れる筈だ。

一緒に住み出した当初は私のためにハムエッグ作ってくれてたし──てか外で食べてきたらいいじゃない。

喧嘩になるから、こんな事は言いそうになって止めた。ナイス判断だと思う。


「優しくねえ女だよな。」

「俺はお前が特別痩せもしねえエステとか、訳分かんねえスペイン語教室の金をカードで払うことに文句一つ言ってないよな?」



「ヒョナが家に来た時もそうだ」

「二人で夜中の三時まで女子会だ~なんて言いながら実際はおっさんの酒飲みみたいな会話してる。でも俺は文句言わずに黙ってるよな?」

「ティーとオメエが、こぞって俺が買ってきたウブロの新作バカにした時も言い返してねえよな?」


出た──コイツのこの性格。

こうなったら厄介だ。

男らしいのに女クサイ部分が有るんだよねえ。



「オメエが、抱いて欲しそうに似合いもしねえベビードール着て家歩いてたら、ちゃんと期待に答えてるだろ?」

突如落とされた爆弾にポッと顔が赤くなるのが自分でも分かった。

性格悪すぎる、なんでこのタイミングでこんな事言うんだろう。


睨んだけど……意地の悪い顔をするだけだった。


「それなのに、お前は俺と離れても寂しくないってか。俺が餓死しようがコンビニ飯で太ろうが、どうでもいいってか。」


「どうでも良いなんて──言ってないでしょ。」

「そりゃ今まで隣に居たはずの男が居なくなるんだから、寂しいわよ」


「でも、仕方ないじゃない。私達は韓国人と日本人なんだもん。恋愛するに当たって価値観の違いだけじゃなくVISAの問題が出て来るのは普通よ」


「なーに、いかにもな事言ってやがるんだよ。オメエのそういうところが嫌いだわ」

「私もアンタのそういう所が嫌いよ」


私達は今は──お互いに大事にしあってる。

でも『水と油』だ。こうなったら、中々交わることは出来ない。双方が人一倍頑固な事の表れだろう。

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