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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
──机上には、カベルネのワインが一本とマッコリ一本、私が愛して止まないモエシャンが一本。勿論、全部からっぽになっていた。
開始してまだ一時間だというのに、みんな酒飲みと云う事も有りかなりのハイピッチで楽しい場が進行されている。
「でも、俺はルイとロイは落ちると思ったぜ。」
「まあテヒョンオッパは練習生の時から──別次元、だったから」
話の内容は昔話が主だった。私は聞いても分からないから、何だかんだ空いたお皿を洗ったり、料理を追加で作ったりと忙しく動き回っている。
これ位しないと『俺の顔が潰れるだろ』と怒るであろうテヒョンの為でもあるが、こうやって背中で酔っ払いの男同士の会話を聞きながら女として動く事が根本的に嫌いではないのだ。
「おいリサ!もうワイン無えのか?」
「まだ有るわよ。LEOっていうのとカーニバルっていうのがある。両方赤だけど──」
「カーニバルは確か前行ったステーキハウスに置いてたやつだよな」
「そうそう。だから重いかもしれない。レオはアルゼンチンのだし比較的飲みやすいんじゃない?」
「テヒョン、両方開けよう。どうせ俺達、一時間でここまで飲んでるんだ。今更ワインについて語り合う舌ではないだろ」
「そうだな、ジン」
「ヒョン達もそう言ってるし──両方いっちゃいますか!」
明るく場を盛り上げるのはルイ君。
それを突っ込みながらも所々、天然を出すのがロイ君。
笑顔で見つめているのがジミン君。
テヒョンとジン君はどこか似ていた。あまりしゃしゃり出るタイプでも無いけれど、何せ『ツートップ』と言われる二人だから花が有る。
テヒョンを有名なドラマ『花より男子』で例えると、道明寺司になる事は間違いない。
そしたら──ジン君は、花沢類かな。
「分かった~開けて持っていくね」
「リサヌナ、ごめんね」
「いいよいいよ。座ってて」
彼が事務所から持って帰ってきた二年前のツアータオルで手をふいて、ワインセラーから二本の赤を取りだした。
「リサ、気を付けろよ」
「何が?」
「そのワインセラー、古いかして熱くなりやすいだろ」
「ああ。前も言ってたわね」
「又新しいの買うから、それまでは我慢してくれ」