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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「ははっ、凄くも何も無えよ。リサが変わってるだけだ」
「それも言えてるね。」
「リサヌナが変わってるからこそ──変わってるテヒョンさんを、ここまで本気で追いかけさせたんだろうけど」
肩に手が回されて、強引に椅子に押された。
ルイ君が待っていたかの様に空いているグラスにレオを注ぐ。
「リサヌナ、本当この人で大丈夫?」
「……大丈夫よ。優しいから、ソンテヒョンという人物は、根本的に──」
「まあ優しいのは優しいけどさ。やり方は強引だった訳でしょ?」
「そりゃーもう。」
「本当、何度も言うけど、それなのによく韓国の生活に適応しようって思ったよね」
「だって、適応するしか生きていけないんだもん。そして──プラスに考えると、この人の言う事を聞くだけで私は女として成長出来る」
「それが半年の我慢なら、グッと堪えて我慢できるものよ」
「いやあ、それが女の強い所だと思います」
「ロイ君。そうなの。そこが──女性の強い所、なの」
「でも言う事を聞くって言っても、ジムに行けとか食生活に気を付けろとかそういう感じだったからね。無理に手を出される事もなかったし」
「今回のこの関係になるまで、手を繋いだ事も同じ部屋で寝た事もなかったの。ただの同居人って感じ」
「ヒョンもそこまで我慢したんだ……」
ジミン君の、その言葉を聞いてテヒョンは大きく笑うと自らのグラスのワインを一気に飲み干した。
「ちげえよ、ジミン」
「俺は我慢したんじゃない」
「ただ強がってただけだ」
「強がりもそうだし──。」
「そこまでしておいて何だけど、もっと嫌われる様な事は避けたかった、だろ?」
「ジン、おめえ流石だな」
「何年一緒にやってきたと思ってるんだよ」
「テヒョンは、『お前が側に居るなら嫌われても一生好きになってくれなくても良い。』なんて、まるで夢を買ったみたいな態度を見せてるけど」
「実際は『本当に好きになってほしかった』んだよ。心底愛した女に嫌われたいと思う男なんて居ない。」
「────。」
その通りだと思った。