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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「でもさ、ジン。不思議だと思わねえか?俺達こうやって十年一緒にやってきたのに、誰も帝国の『ての字』さえ思い付かなかった。」
「──俺が、日本人に惚れて、ここまで追いかける羽目になることも、誰も予想出来なかった。」
「人生なんて予想出来ない事ばかりだろ。それを言うなら、こんな俺達5人がここまでのアーティストになれた事も予想外だ。」
「まあ、それはそうだな。」
「僕達、はじめはBNの残飯処理って言われてましたもんね。売れないと踏んだ曲ばかり回ってきてたし……」
「覚えてる?先輩のALが飛行機遅れて、俺達が代わりにMAMに出演したこと」
「あー、覚えてる。売れてるグループが皆、別地で仕事だったんだよな。だからまだ無名の俺達がいきなりMAMに出たけど……まあボロボロだったわ」
「出演者には小バカにされるし、観客にはブーイングされるし。本当に、こんな経験ばっかしてきたよな」
各自の口から出てきたのは、今のサファイアからは想像も出来ない様な姿だった。
「でも、時が経った今──どうだ?」
「あの時の司会は、逆に俺達に媚を売ってる。小バカにした出演者やALなんて各自解散して、今どこに居るか分からない様な奴ばかりだ」
「今では、気を使われることが当たり前だもんな。」
「でも、テヒョンさんはそういう環境になれたことに感謝しないと」
「何言い出すんだよ、ルイ。」