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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
「着いた。」
「──…あっ!はい!」
「はは、だから寝てて良いよ。って言ってたのに」
「いや、さすがにわざわざ迎えにきてくれて、運転までしてくれてるのに寝れないよ」
「そういうのちゃんとしてる所に惚れたんだろうな、俺って」
「さあ?そんなん知らんけどさ……。」
こんな夜中に、そんなことを言われたら惚けた返事しか出来ない。
その姿をみて笑った彼は急に何かを思い出したかの様に私に有名ブランドの袋を渡した。
「何これ?」
「特注」
「──はあ?」
「良いから見てみ」
タバコに火を付けて、ぶっきらぼうにそう言った彼。
何食わぬ顔して話してるけど──カルティエの特注はかなりの値段。しかもあの天下のカルティエでわざわざ特注を頼めるってことは…
「もしかして上層部と知り合いなの?」
「デザイナーのカール・ブラントン知ってるだろ?知り合いなんだよ」
「リョウもそこまで来たか……」
「そこまでってどこまでだよ。ま、良いや。それ明日にでも見てくれる?」
「お前とは絶対に再会出来る気がしてた。こんな俺に一年半年も着いてきてくれたお礼と……俺の気持ちを伝えるために、いつかを思って買っておいた。」
「とことんストーカー気質かよ~」
「ほら、そういうところ。素直になる場面は。」
「ふふっ、冗談よ冗談。──ありがとう!明日見る!」
女の子でジュエリーをもらってイヤな気持ちになる人は居ないと思う。
マリリンモンローの"diamond is girls best friend"を歌うレベルになるかどうかは置いておいて、それでも嬉しいのはたしか。
「ありがとう、リョウ…」
車から降りる前に、呟いた。すると彼はー…
私の頭を撫でて額にキスをした。すごく優しくてかわいいキスだった。