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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
『帝国グループの分裂が密かに二年ほど前から囁かれていましたが、真実味を帯びてきそうですね。』
『まあ、お兄さんと会長に──有権者がどれだけ付くか、で変わるでしょうね。』
『分裂したら、格差は縮まったりして』
今度は──私が、チャンネルを変えてからテレビを消した。
「こんなの見て、何になるの。珍しいわね。」
「たまたまやってたからだろ。」
「格差とか平等とか馬鹿らしいわ」
「お、酒が回ってきたか」
「違う。あのメガネ評論家の最後の言葉に腹が立っただけ」
「'──。」
帝国グループが潰れれば、格差は縮まる?分裂の危機?何とも馬鹿らしい。
「平等は悪と一緒よ。」
「不平等だからこそ、人間は努力して高みを目指す。格差が無ければ、優れた品物も努力も……努力する意義も無くなるのよ。」
「ああいう綺麗事ばかりを並べた大人って本当に嫌いだわ。財閥を嫌ってる一般人に媚売ってるのが丸見え」
「はっ、おめえも本当に相変わらずだな。」
「だってそうでしょ。始めから同じ人数のファンが居れば、貴方達もALを抜かしてやろう!とか思わなかったでしょ。」
「スタートラインも何もかも違うけど、そんな逆光の中から這い上がっていく過程で、私達は大事な何かを見つけてキラキラした大人になってくの」