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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆


もう一度、キッチンへ向かおうと立ち上がった私の腕を強く引いた彼。

間抜けな音を出しながら、私の大きなお尻はソファーの上に乗った。

「もうちょっと話をしよう」

「飲み物無しで?」


「はあ。……俺を使うなんて、おめえも大した女だこと」

「いいじゃん。」


「誰も居ないからな。メンバーが居る時に俺の顔立てるために色々と動き回ってくれたお返しだ。何飲む?」

「マッコリが良い。テヒョンも半分飲んでくれる?」

「甘いのは俺は遠慮しとく。おめえもこの時間から飲むならウイスキーにしとけよ」


「ああ、確かに。」

冷蔵庫から取り出したソーダとストックのブラントンを持ってきてくれたテヒョン。こういう所は優しいんだよね──。

「ハイボールで良いんだろ?」

「うん。ブラントンのハイボールなんて贅沢。」


「無くなったら買えば良いさ」

「女は良いモン食べて、舌肥えさせねえとロクな男が寄ってこない」

「それ、私の死んだおじいちゃんもよく言ってた」

ハイボールには独特の作り方が有る。この人はそれを熟知しているのだろう、慣れた手つきで二つのグラスに美味しそうなアルコールを注ぎだした。


「なんか変な感じね、二人で家でお酒飲むなんて」

「俺の仕事が不定期だからな。明日は事務所仕事だから、俺がこの時間に飲んでも平気なだけで」

「それに合わせる私も大変なもんよ」


「知ってる。」


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