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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「初めは、俺のおじいちゃんが彼女を愛人にしようとしていたんだ。」
「どえらい宝石を買って貰ったりしたらしいけど、その間でオンマは親父は良い感じになってた」
「親父が帰国してからは、今で言う遠距離恋愛」
「でも、そこは同じ女に惚れた帝国の会長の力だ。──在籍してたフランスの語学学校に連絡し、姉妹校を韓国にも作らせて渡韓させた」
「……。」
「凄いだろ。──でも結局、一向に落ちそうにない女におじいちゃんは飽きた。飽きた瞬間に親父とオンマは正式に『カップル』になった」
「だけど分かると思うけど、韓国の文化では親や年上の言う事は『絶対』に近いし年上の人に敬意を示す行動が当たり前。」
「自分の親父が本気で落とそうとしていた女と付き合った事なんか絶対に公には出せなかったらしい」
「そりゃそうよね」
私がその時の会長さんだったら、きっと愛した女を取った息子か……テヒョンの母親に意地悪な事をしてたと思う。
『お前とは縁があったんだな』なんて心の広い事を言うレベルには無いだろう。
実際、男は『尽くした量だけ自分は相手に惚れている』と勝手に勘違いをする生き物だし。
「で、オンマが21の時に親父は政略結婚させられた。相手がニュースの写真にあった女性。」
「今はもう帝国に吸収されて無いけど──昔は帝国よりも少しだけ資産が多い『上野芝財閥』というグループの長女だったんだ」
「その半年後におじいちゃんは他界、帝国を乗っ取られると危機感を覚えた親父はオンマに頼んでフランスにレストランを8店舗出させた」
「それが全部、すげえヒットしてな。そこで帝国グループの名をヨーロッパにも広めていって今の貿易会社の基盤を作り上げたんだ」
「じゃあ、フランスでのレストランはオンマが切り盛りしてたの?」
「違う。初めの工事発注とかその他諸々の注文の通訳が主な仕事じゃねえの?実際には帝国から優秀なヤツを何人か現地に行かせてたらしいし」
「ああ、そっか……。」
面白い話だった。