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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「で、貿易会社の基盤が後少しって時にオンマが妊娠したのが発覚したんだ」
「へえ」
「でも籍は入れれなかった。」
「理由は二つある。一つ目は『上野芝財閥のスキャンダルがまだ公表されていなかったから』──二つ目は『帝国をもっと大きくしたかったから』」
「まだスキャンダルが公表されていないって事は、持ってる天下の上野芝財閥の株20%を保証に銀行からも帝国以上に金を借りる事が可能だし、信用も付くだろ」
「ああ、そういう意味か!」
「そうだ。銀行から金借りる、は例えだけどな。」
「韓国国内での信用も地位も『ナンバーワン』のまま貿易会社として海外と取引できる。親父はそれを利用したかったらしい」
「二つ目は──」
「一つ目と繋がってるけど、帝国をもっと大きくするには変に離婚とかせずに夫婦円満を演じる必要があった。」
「日本みたいに不倫しちゃいました。でも反省してます!で、出てこれる国じゃないってのが有ったんだろうな」
「……。」
「俺が生まれる頃に、メインカンパニーの脱税から始まりパワハラとか色々な事でガタが出た上野芝はあっと言う間に韓国での地位を落した」
「──そしてそれを親父は利用した」
「会見を開いて涙を流し、嫁を横に置きながらこう言ったんだ。」
『結婚相手の家柄にどんな事が有ろうとも僕は彼女を嫁に貰った男です。僕が愛した女性の為、今から立ち直させてみせます。』
「……これにより、帝国の株価は急上昇」
「『政略結婚したずる賢い帝国グループの代表』から『クリーンで男らしい帝国グループの代表』にイメージが様変わりした訳」
「凄いわね、会長って」
「ああ。外面は完璧な役者だ。」
「家では鬼だったけどな。現にそんな涙会見の直後、上野芝の血を引くものを役員から外して帝国のメンバーで固めた」
「嫁には形だけNPO法人の代表を与えたみたいだけど。それにしてもやる事はキツいぜ」
「──俺が五歳の時には、その出来事から5年経ってる。」
「その時は……もうすでに帝国の力は大きくなり過ぎてたよ。上野芝なんて見る陰も無かった」
「そして、ある程度物心付いた10才の時には今の地位と同じ地位を持ってた」