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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆

その国にはその国の香りが有るとはよく言うものだ。

例えば中国は臭い・韓国はキムチ・ハワイはココナッツの様な甘い臭い。

今までは日本は無臭だと思ってた。

でも──韓国で半年間生活をして客観的な鼻覚を持つ様になったのだろう。


生粋の日本人で有る私も……三日前に関西国際空港に着いた時には、醤油臭いと思ってしまった。


そして、それに追い打ちをかける様にして家中に香るお出汁の臭い。勿論、これにも醤油は含まれている。

「リサ、あんた韓国なんやから時差ボケも何もないやろ。手伝って」

「はいはい。」

今年で56歳になる母親は、何やら上の方から鍋を取ろうとしている。

スマホを充電器に差して、テレビを付けてから、背伸びをして取ってあげた。

「あら、あんたも意外に小さいねんな。」

「そうよ。韓国おったらチビっていわれるもん。あっちの人は背大きいし」


「ああ、それ聞くなあ。」

母の相づちを背中で受けながら、麦茶を飲んだ。無意識にテレビに目を向ける。

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