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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
懐かしい……夕方だったらいつもミヤネ屋見てたなあ。と思いながら変わったパネルを見た。
どうやら次は上野動物園の話題らしい、と思った矢先にフラッシュするかの様にドアップで映し出される女性アナウンサー。
「──ぶはっ!!」
「汚いなあ、何してんの!」
机の上に飛んだ私の口から出た麦茶……。ゴメンと言いながらティッシュで拭く。
『緊急ニュースです。韓国のアート財閥長男 アル・ウンサンさんが覚醒剤所持の疑いで只今逮捕されました』
「あ……アート財閥?」
「知らんの?有名な財閥やん。」
いや、知ってる。知り過ぎてる位に。
『入ってきております情報では、検査結果では陰性だったとの事です。何故覚醒剤を持ってたのかと言う事に引っ掛かりますね……』
『僕ね、韓国に知人居るんですけどこの人って大分、酒癖悪かったんでしょ?なんか悪い人と絡みありそうな雰囲気やったって言うてましたよ』
『安藤さん、その可能性も有りますよね。いやー韓国経済に詳しい大塚さん、どう思われますか?僕的には最近、財閥の不祥事が多い気がするんですけど』
『多すぎますね。少し前は帝国のあのニュースだったでしょ』
『そうですよね。で、今回は国内四位の規模のアート財閥ですからね……。もうそろそろ、財閥に頼る経済の形も変わらないとダメな時期ちゃいますか?』
『それは国内でもずっといわれてることなんですけどね。やっぱり難しいみたいですよ。』
的確な司会業でミヤネさんは沢山の人に話を振っていた。
だけど──申し訳ないが、こんなん見なくても私の方が財閥事情もウンサンの本性についても詳しいのだ。
『この前も日本人の女の子捕まえて、文句言うてた動画が問題なりましたもんね。あれで反省したかと思ったのに』
関西弁で意見を言うのは、黒髪ぱっつんが特徴の漫才コンビの一人だった。
結構キレイで、頭が良い。
『あー、有りましたね。相手が日本人でそれを止めたのが……あのサファイアのソンテヒョンって事もかなり注目されましたしね。』
『でしょ?普通そうなったら人間、少しは大人しくしておくんやけど……』
キッチンに立っているお母さんも、このニュースを食い入る様にして見ていた。何か話かけたそうにするのを制止して電話をかける。
相手はもちろん──アイツだ。