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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆

日本語に触れたくて、日本の文化に触れたくて……地下鉄を使ったからだろうか?

リョウの所属事務所まで、質屋さんから約35分もかかってしまった。


リョウが居るかどうか何て分からないけど、行かないより行く方がマシだ。

付き合ってた時に事務所によく通っていたのが幸いして、何なりと受付に入れた。



受付嬢は変わっているけど──こういう時のアミューズの名刺。

それらしい要件を伝えてから、ソファーで待つ。BNで、まだ憎しみを抱いていた頃のテヒョンに会った時の様だった。

時刻が、午後15時という事もあってか、スーツを着たサラリーマンが目立つ。


皆、事務所と取引してる会社の営業マンなのかな。忙しそうに携帯を触っている人が大半だった。アホ面をしてる私はかなり珍しい部類に入るだろう。

『仕事』という事から離れた今──。


少しは前に進めたのかして、動かなくても良い様にも思えてきた。昔はかなりの貧乏性で動いてないとダメだったのに。


「柳沢さん」

「はい!」


「リョウとの面会が整いました。あちらの警備員に、この札を見せてからエレベーターで7階までお上がり下さい。」

「有難う御座います。」


リョウが有名になったからだろう。前よりも、もっとセキュリティーがしっかりしている。

警備員さんは私が手に持つ札をチラリと見ると愛想の良い笑顔を浮かべてからゲートの解除をする。

後ろに続く営業マンの雰囲気に押される様にして足早にエレベーターボタンを押した。


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