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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
先程のサラリーマンは五階で降りた。
何も変わっていなければ、五階は若手俳優たちの稽古場になっている。
舞台関係者とか、そういった職の方だったのかな?と思いながら、まつげを右手の中指で上げる。
ビューラーで上げたけど……朝したメイクだ。もうさすがに取れそうになっていた。
──どうせなら、可愛い顔して会いたい。一度は本気で惚れたあの男に…。
機械音と共にドアが開いた。
そして──急に真っ暗になる視界。
「リサ!」
聞きなれた声に、匂い慣れた香水。
私よりも高い身長と、この声は──。
ああ、抱き締められたんだ。
エレベーターが到着するのを……ドアが開くのを……ずっと待っていた彼に。
「リョウ、二人で話をしたい」
私は一方的にテレビで見てたから、特に変化は感じない。
だけど、リョウは私に対し何かしらの変化を覚えたのだろう。驚いた表情をすると『あ、そうだな』と言いながら奥から三つ目の会議室へ案内してくれた。
芸能事務所の作りや、用途に合った部屋っていうのは日本と韓国もあまり変わりが無い様だ。