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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「いきなり、過ぎたよな」
長い沈黙になりそうだったこの空間の雰囲気を変えたのは私の一声だった。
「ああ。驚いたよ。まあ身内と今後について話してた時だったから抜けれたけどな」
「抜けて良かったの?」
「うん、それは大丈夫」
『何もねえぞ』と言いながらも部屋に有る小さい冷蔵庫の中からペットボトルの午後の紅茶を出してくれた。私が大好きな──甘ったるいミルクティー。
「……で、何を言いにきたんだよ?まあリサの事だから言いたい事は沢山あるんだろ」
「まず、ずっと連絡取れなくてごめん」
「それは許さない。心配した。ハイ、次」
あっけない返答に驚いて顔を上げると、少しセクシーになったリョウがリヤリと笑う。それにつられて私も笑ってしまった。
昔は──こうやって『笑顔』はいつも半分個だった。
「実は会社をクビになって、家も売られて、カードも凍結されてスゴかったの」
「──それマジだったのか?」
「え、何。」
煙草をセットしていた彼の手が止まる。マルボロじゃなくてアイコスになっていた。
「はあ。リサから全部話しさせるつもりだったけど中止だ」
「俺も言いたい事が有る」
「──実はリサと連絡取れなくなってアミューズもクビにされた事を聞いて……不思議に思ったんだよ。っつーか心配になった」
「だから業界関係者とか色々な人にアミューズの噂は勿論、お前が担当してた中で一番力入れたラテリーナの人とかにも聞いた」
「何をよ」
「だからアミューズの噂と柳沢リサという人物についての噂を」