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シャネルを着た悪魔
第10章 ☆CHANEL NO10☆
「テヒョンの母親は帝国の関係者なのか?」


「だからお前の事をあそこまで引きずり落とす事が出来たのか?じゃねーと──全体的に説明がつかないと思う。」

「いくらサファイアだ、BNだって言っても俺の事務所に直接圧力をかける様な真似や、世界的な雑誌ラテリーナにそこまで言えるほどの力は無い」


アイコス独特の草が焼ける様な香りが部屋に広まった。

私はそれをかき消すために、いや違う。落ち着くために自分のタバコに火をつけた。



「ねえリョウ、詳細は私からは説明できないの」

「はあ?」


「だって、そうでしょ。グレーで留めておく方が私たちのタメになる事だってある」


「もし本当にテヒョンが帝国と血のつながりがあって、それを利用して私を側に置いた場合、それを知ったリョウはどうするの?」

「怒り狂う?それとも手を挙げて喜ぶ?」


「……どっちでも無いでしょ。じゃあ、知らぬが吉よ。」


さきほど、この話の元となっている男に言われた言葉と同じ言葉を返してしまった。無意識に。

似たもの同士がくっ付くんじゃない、くっ付いたものが似てくるんだ──という言葉を聞いた事があった。これってよく当たってるんじゃないかしら?

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