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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
自転車に乗った女性が、立ち止まって電話で会話してる私を不思議そうな目で見る。
とてもキレイな人だった。武田久美子という例は少し古いかもしれないけど華が有ってスタイルが良くて、ああいうタイプの女性。
ママチャリが日本らしさを表してる。
「もしもし、リョウ?」
「どうしたんだよ」
「私さ財布忘れてなかった?」
「……財布ぅ?そんなのリサ、俺ん所で出してないだろ」
「出してないけど、携帯出す時に一緒に落ちたとかも考えられるじゃん!」
すれ違う女性と目が合う。
まさか彼女は私がカワスミ・リョウとこんな口調で電話してるなんて思ってもないんだろうな……。
「そうなったら気付くだろ…。まあいいけど、今からマネージャーに確認してもらうわ」
「うん、申し訳ないけど頼んどくわ。怒られて大変やねんから」
「そりゃ怒るだろ。どーせカードとか持たされてるんだろ?」
「そうそう。それがネックなのよ」
石を蹴る様な素振りをして、一歩前に足を進めた瞬間。
背後から声が聞こえた。
「おねーさん!!」
「──?」
振り向いたそこには先程の美人。
「知り合いか?」
「いや、違うけど呼び止められた。まさか財布拾ってくれたのかな?」
お互いに近付いていく。
彼女が手に持っているものは何なんだろう。視力が悪いからよく見えない。
「それは無えだろ。本当に道端で落としてたら俺はお前に病院を勧める」
「……どうしました?」
と聞いた瞬間だった。
────激しい痛みで目を瞑る私。
「………っ」