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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
ドクッと自分の心臓が大きく波打つのが自分自身で分かった。
下を見ると、溢れ出る赤い液体。
人間の体内から出る赤い液なんて、一つに決まってる。──血、だ。
お気に入りのシャネルスーツは見る影もなく真っ赤に染め上がっていた。
「……リサ?」
手が震えてくるこの感覚。
きっと刺されたんだ。
でも認めなくなかった。
こんな辺鄙な町に通り魔が居たかもしれない、という真実も……私が何故刺されてしまったのか、という真実も。
だけどここまで『状況証拠』が揃ってる今──必死に声を上げるしかなかった。
「……きゅう」
「リサ?おい、どうした」
「──っ、救急車……。」
今朝はあれだけ輝いて見えた質屋さんも、今はモノクロの世界。
刺されないと刺された人の痛みも気持ちも分からないんだ。