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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆

彼女がティーカップの中の『何かが混ぜられた液体』をもう一度飲むシーンが脳内で再生されたと同時に、私も目が覚めた。

何度も言う様に──夢だと分かっている夢を見るのは体力が居る。

色々と真相を探ってしまうから……なのだろうか。私にはこの夢が何かを訴えかけている様な気がしてならなかった。


「……リサ」

韓国訛りの呼び方。

そこで左手が──暖かい誰かに包まれている事に気がついた。

この白い壁は、病院で有る事にも。


「テヒョン?」

今にも泣き出しそうな顔をしている彼は私の体を一度だけ見ると、抱き締めることを諦めた様だ。

その代わり、とても優しいキスを手の甲にした。その瞬間に──シャネルの五番が香り、安心感を覚える。

「分かるか?ここが何処で、何故リサが今、ここに居るのか。」


幼子に問いかける様な紳士的な口調。

こんな口調で私に話しかけてきた事なんて有るか無いかだろう。有ったとしても片手程度だ。

「あっ──ああ。分かるわよ」

一瞬戸惑った。何故だっけ?と思ったから。

だけど……上半身を起こす時の痛みでその理由を思い出したのだ。


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