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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
「リョウさんが言ってた。主治医は言ったらしい。『ナイフには毒物が塗られてた』と。」
「毒物?」
というか──テヒョンはリョウと会ったんだ。まあ、リョウが彼に電話したと云うことは……。
急いでこっちに来るまでは、ずっと付き添ってくれてたのだろう。
今からアメリカで活躍しようとしている俳優に手を握られてから、今度は既にアメリカで知名度抜群のアーティストに手を握られている。
刺された代償として考えると──まあまあ、なのかもしれない。
もちろん、命が有るからこそこんなバカなことを思えるんだけどね。
「──リシンって分かるか?」
「ねえ、テヒョン。私生きてるのよ。その泣きそうな顔止めてよ。」
「いいから聞けや!!リシンって知ってるか?」
泣きそうな顔になったと思えば今度は逆ギレだ。さすが男。
もう何も言う気は起きなかった。
「……はあ。知らないわよ、なにそれ」
「お前の体に刺さった刃物に塗られてた毒薬だ。圧倒的微量で人を死にやる毒だって言われてる」
「それが刃物に塗られてたって先生は言ってるの?」
「お前の体内で拡散しかけてたんだ。……つまり、塗られてたってことだろ」
「──拡散しかけてた?どういう意味」
「リシンは、毒が拡散すれば100%人を死に追いやれる人間が合成した毒として知られてる。でも速やかに拡散することに意味がある」
「リョウさんが即行動して、念のためお前が倒れてた場所を通報してくれたから救急隊員達の到着も早くて、リサは助かった」