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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
「なにそれ、私はてっきり通り魔に狙われた被害者だと思ってた。」
「通り魔なら──リシンは使わないし、使えない。俺は……俺のサセンがしたことだと思ってる」
「ターゲットははじめから私だったってことよね。」
「──っ」
一滴の涙が彼の頬を伝う。
普段は絶対泣かない彼が……そう、自分の母親の話をしても、悲しい過去の話をしても、涙なんか見せなかった彼が泣いた。
誰よりも格好付けたい相手であろう、私の目の前で。
「俺が、自分の独占欲や見栄のためにお前の顔がある程度写ってるにも関わらず、BURNであんな行動をしたからだよな」
「俺が──。」
「お前と一緒に居たいがために、一緒に住んで、当たり前かの様に買い物行ったり飯行ったりしたからだよな」
ああ、まるで子供だ。
泣いて、逆ギレして、次は自分を責めている。
「リサ、お前が財布無くしたって言った時、俺はまるで自分が何も間違ってないかの様な口ぶりだったよな」
「でも違うんだ。」
「お前はリョウさんにも俺の素性を隠し通してくれた──。お前は芸能人の彼女として、必死に行動してくれてた」
「自分のことを、そう……俺自身のことを勘違いしてたのは俺だったんだよ」
私と目を合わせようともせずに、ずっと下を向いたまま話している。
心なしかいつもより発音が韓国式だ。それだけ動揺しているんだろう。
今は母になるべきなのかな──?
そう思った私は、少し痛むお腹を庇う様にして彼と繋いでいる手を話し、金髪の髪を撫でてから、ゆっくりと抱き締めた。