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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
「離れた方が良いかもしれないとか、サセンかもしれないとか、メイビーばっかじゃん。あんたの言ってること」
「──っ、でもそうに決まってんだろ」
「そうかな?離れた方が私が幸せになれると思ってる?」
「本当にサセンの仕業だと思ってる?」
「……。」
「バカな事言って、神経質になりすぎないで。根本問題、私の本音は私にしか分からないのよ。」
「私はこれがサセンの仕業だったとしても──一緒にいたいと思ってる。なぜなら、一緒にいることが今の私の幸せだから。」
「でも裏腹に、サセンじゃない可能性も有ると思ってる。」
「そんなさ、一人で考え込んで解決しようなんて思わないでよ。」
「アンタの事はアンタが一番分かってる様に、私の事は私が一番分かってる。それが大人でしょ。」
病院の先生が着させてくれたのかな。綿の服が彼の涙で濡れていった。
「……お前は本当にそれでいいのかよ」
「なにがよ。アンタと一緒に居る事?」
「ああ。ここまでされて──」
「はあ、もう煩いわね。心配してくれてるのは分かってるわよ」
「でもねこれがアンタのサセンの仕業だって証拠、どこにあるの?」
「何の関わりも無い人達を殺す為に車で歩行者天国に突っ込むヤツも居れば、小学校に乗り込むヤツも居る。」
「彼氏が誰であれ、場所が日本であれ韓国であれ──被害者になる時は被害者になるし、エグい事を考えるやつはエグい事をする。」
「今回の事に関して、たまたま私がその両方の『被害者』になったってだけでしょ。」
「なあ、何でそんなに強いんだ?何で俺だけこんなに焦ってんだ」
「強くも何もない。ただアンタにあそこまで地獄に落とされた経験が有るから今回の事も命有るならそれで良しと思えるだけ。」
あの時も貰ったミルクティーが机の上にあった。きっと……リョウだろう。
もうすっかり、冷気はなくなったそれを一口飲んだ。人工的な甘味料が今の私にはとても美味しく感じる。
これは疲れのせいなのかな?それとも毒のせいなのかな?
「はあ。ねえ、テヒョン」
「もう下ばかり向かないで。」
『私は貴方と居ることが何よりの幸せなの。その幸せを勝手な判断で奪っていく気なの?』
『勝手に側に置いて、勝手に離れさせるなんて──今度こそ、あの日と同じ汚い英語の置き文句言ってやるから』