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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
少しだけ、そういう世界から離れたくなった。愛も全て有りがたいんだけど、何だか気怠くなってくる。
スマホの電源を切ってから、私はリビングに降りた。
まだ母親か妹のどちらかが起きているのかな、下からテレビの音が聞こえる。
「起きてたんや。てっきり爆睡してたかと思った」
「食べて爆睡したら豚になるわよ」
「なあに、最近まで豚だったくせにね。ちょっと痩せたからってそんなん言い出すんやから、怖いわ。」
ソファーに座りながら、火曜サスペンスを見てポテチを食べてる我が親。
こんな生活なのに太っていないのは基礎代謝が良いから?それともDNAレベルの問題かな。
子供の私から見ても、結構きれいな顔をしている彼女。私は大人になった今思う、どうして再婚しなかったんだろうと。
もし再婚していたら──いや、この人ならそこそこの人間と出来たはず。
そうなっていれば、しんどい仕事をしなくても私や妹を学校に行かせられただろうに。
「なあ、お母さん」
「どうしたん」
「好きな男と一緒に居るにおいて……一緒に過ごしていくにおいて……なにが大切だと思う?」
「そりゃ愛やろ。」
「お金じゃなくて?」
「お金は、互いが真面目に働いていれば食べてはいける位は有るんよ。それ以上に大事なのは愛。」
「愛は働いたからといって給料みたいに決まった日に貰えるわけじゃない。だからこそ、生まれた愛を大事にすることが重要やと思うけど」